現代の歯科医院では、
患者の権利意識が高まり続け、
理不尽な要求や暴言を繰り返す
問題のある患者への対応が大きな課題
となっています。
このような患者への不適切な対応は、
スタッフの離職や医院の評判低下という
深刻なリスクを招きます。
院長として適切なリーダーシップを発揮し、
スタッフを守りながら
医院全体の信頼を維持するための
具体的な3つの対策をご紹介します。
①明確な患者対応方針の策定と共有
クレーマーやモンスター患者は
相手をコントロールする術に長けています。
スタッフが場当たり的な対応をしてしまうと、
問題が深刻化し、
スタッフ自身も疲弊してしまいます。
そのようなことを防ぐためにも、
クレーマーやモンスター患者に
どう対応するかは、
医院の方針として明確にしておくことが重要です。
- クレーム対応の一貫した手順とルールを文書化
- 対応時の判断基準と権限の明確化
- スタッフが迷わず行動できるマニュアルの作成
また、スタッフに負担をかけないよう、
問題のある患者への対応は院長が直接行うことを
原則とします。
これにより、スタッフの精神的負担を軽減し、
一貫した対応が可能になります。
②スタッフを守る毅然とした姿勢
人格を否定するような
暴言や理不尽な要求に対しては、
感情的にならず毅然とした態度で
対応することが重要です。
- 感情的にならず、冷静さを保つ
- 「行き過ぎた発言や態度はお断りします」と事実を淡々と伝える
- 不当な要求には応じない姿勢を一貫して貫く
仮にスタッフに業務上の落ち度があったとしても、
「仕事のミス」と「暴言を受けること」は
まったく別の問題です。
患者と一緒になってスタッフを叱責したり
「新人が迷惑をかけて申し訳ありません」
と謝ったりして終わらせるのではなく、
暴力的な手段で訴えることは
やめてもらうように院長として
伝えなければいけません。
③記録・証拠保全体制の整備
トラブルが法的問題に発展した場合に備え、
客観的な記録を残すことは不可欠です。
また、記録を残すことで、
スタッフの不安解消と安心感の向上にも
つながるでしょう。
具体的な記録方法
文書記録 | 問題となった言動を時系列で詳細に記録 |
---|---|
日時、場所、関係者、具体的な発言内容を明記 | |
複数のスタッフが関わった場合は、それぞれの証言を記録 | |
音声記録 | どのような状況で録音を開始するかの基準を事前に設定 |
スタッフ全員に録音の方法と基準を共有 | |
法的な観点から適切な録音方法を確認 |
ただし、悪質なケースでは
院内だけで抱え込まず、
警察や弁護士、歯科医師会、保険組合などと
連携を取りましょう。
おわりに
クレーマーやモンスター患者への対応は、
単なるトラブル処理ではありません。
院長がリーダーシップを発揮し、
「スタッフを守る」という
明確なメッセージを示すことで、
医院全体の結束力が高まります。
スタッフが安心して働ける環境こそが、
長期的な医院運営の基盤となります。
適切な対策を講じることで、
健全な歯科医療環境の維持と発展を
実現しましょう。