- スタッフを増やしたいけど、
本当に人件費を増やして大丈夫なのだろうか… - うちの歯科医院の人件費バランスは
適正なのか分からない…
忙しいから…とスタッフを増員しても、
仕事が楽になるだけで
利益を圧迫するようでは元も子もありません。
実は、多くの歯科医院経営者が気づいていない
重要な指標があります。
それが『労働分配率』です。
この数値を正しく理解し活用できれば、
無駄な人件費の削減や、
逆に必要な人材への適切な投資判断が
できるようになるでしょう。
本記事では、人件費の本当の意味や
歯科医院における労働分配率の計算方法を、
わかりやすく解説します。
本当の人件費とは?
人件費とは、雇用で発生する
さまざまな費用のことを指します。
- 給与
- 法定内福利厚生
- 法定外福利厚生
- 賞与
- 退職金
- 通勤交通費
- 管理費
従業員の給与以外の費用も考えて、
人件費をいくらまで出せるのかを決定し、
スタッフの増員を考えなくてはいけません。
このときに参考にしたいのが
労働分配率です。
労働分配率とは、
企業が生み出した付加価値のうち、
従業員の給与や賞与など人件費として分配される割合
を示す指標です。
企業の利益配分のバランスや労働者への
還元度を測る際に用いられます。
歯科医院の労働分配率の計算方法
労働分配率は、
医院で生み出された付加価値のうち、
人件費が占める割合を示す重要な経営指標です。
この指標を通じて、
歯科医院の人件費が適正かどうかを
分析することができます。
労働分配率の基本的な計算式
労働分配率(%)=
人件費 ÷ 付加価値(減価償却費含む) × 100
歯科医院での具体的な計算方法
歯科医院においては、以下の計算式を用います。
労働分配率=
人件費 ÷ 医業総利益(医業収入ー変動費)× 100
つまり、医業収入から
技工費と材料費などを引いた額(医業総利益)で
人件費を割った数値が労働分配率。
もし労働分配率が高過ぎるなら、
スタッフが給与に見合った稼ぎ方をしていない、
あるいは人が多すぎるということになります。
歯科医院の労働分配率の目安
個人歯科診療所と医療法人等歯科診療所の
労働分配率(令和4年度決算)
個人歯科診療所 | 医療法人等 歯科診療所 | ||
---|---|---|---|
医業収入:a | 医業収益 | 47,190 | 110,768 |
介護収益 | 213 | 584 | |
合計 | 47,403 | 111,352 | |
変動費:b | 医薬品費 | 720 | 1,139 |
歯科材料費 | 3,551 | 9,170 | |
委託費 | 4,232 | 7,800 | |
合計 | 8,503 | 18,109 | |
人件費:c | 給与費 | 14,268 | 53,362 |
労働分配率:c /(a-b) | 36.67% | 57.22% |
出典:厚生労働省『第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告-令和5年実施-』
※『給与費』には、役員報酬は含まれていません。
※個人の歯科診療所の場合、事業主の所得は『損益差額(利益)』から得られるため、給与費には含まれません。
一般的に、
労働分配率は企業規模や業種にもよりますが、
50%から70%程度が目安と言われます。
すなわち、個人歯科医院の場合は
院長報酬も含めたうえで、
上記の目安に収まるかが
健全な人件費の目安となってきます。
おわりに
あなたの歯科医院の労働分配率は
現在どれくらいですか?
目安と比較して
高すぎたり、低すぎたり
していないかを見極めることは
歯科医院の成長につながります。
忙しすぎる場合は人員を増やすべきですが、
その前に一度
労働分配率について考えてみては
いかがでしょうか。