給与は業界水準、残業も少ない、
ハードな環境でもない。
なのに、なぜかスタッフが辞めていく。
そんな悩みを抱えている
院長は少なくありません。
退職理由を聞いても
「家庭の事情で」「体調面で」
といった当たり障りのない言葉が
返ってくるだけ。
本当の理由は見えないまま、
また採用活動が始まる……。
実は、
スタッフが辞める本当の理由は、
表面的な退職理由とは別のところにあります。
この記事では、
人材が定着する歯科医院と
離職が続く歯科医院の違いを、
院長が見落としがちな
「現場の負荷」という視点から解説します。
数値だけでは測れない『見えない負荷』
歯科医療従事者の仕事には、
『見えない負荷』が日常的に存在します。
- 患者対応での緊張の連続
- クレーム対応、不安な患者への配慮、
予約調整など
- クレーム対応、不安な患者への配慮、
- 医療ミスが許されないプレッシャー
- 器具の準備、投薬の確認、
記録の正確性など
- 器具の準備、投薬の確認、
- 院長や先輩の意図を察する空気感
- 明文化されていないルール、
暗黙の期待値
- 明文化されていないルール、
このような
『判断の連続』と『感情労働』が積み重なると、
勤務条件が極端に悪くなくても
「もう続けられない」という心理状態に
追い込まれてしまうのです。
『問題が起きていない職場』=『健全な職場環境』とは限らない
「スタッフから不満の声が上がらない」
「指示にも従ってくれている」
一見すると問題がないように見える状態。
しかし、必ずしも健全とは限りません。
不満や課題を言いづらい職場文化
少人数で運営する歯科医院は、
スタッフ間の関係性が
密接になりやすい職場です。
そのため
- 本音を言いにくい
- 職場の空気を壊したくない
- 周りからの評価を下げたくない
と感じてしまい、
本音を隠したまま我慢して、
ある日突然限界を迎えて「辞めます」
となってしまうケースが多いのです。
これは個人の問題ではなく、
組織としての
コミュニケーション構造の問題と
捉えるべきです。
スタッフ定着を重視する歯科医院が実践していること
長くスタッフが働き続けている歯科医院には、
共通する特徴があります。
それは、
スタッフのがんばりに依存せず、
定期的な調整を仕組み化している
という点です。
1. 業務負荷の定期的な見直し
- 特定のスタッフに業務が
集中していないか - 新しい役割が増え続けて
いないか - 繁忙期と閑散期で
調整できる余地はないか
定期的に業務分担を確認するミーティングを
設けることで、大きな変化が生まれます。
抽象的な質問では本音は出てきません。
具体的に聞くことで、
現場の実態が見えてきます。
2. 『言語化』の文化づくり
- 業務マニュアルの整備
- 役割分担表の明確化
- 暗黙のルールの文書化
「わかるよね」
「察してほしい」を減らし、
言葉で伝え合う文化をつくることが、
ストレスの軽減につながります。
院長の『当たり前』を押し付けていませんか?
「自分も若い頃はもっと大変だった」
「これくらいは歯科業界では普通」
院長自身が忙しい環境で我慢して
キャリアを積んできた場合、
その経験が無意識の基準に
なってしまうことがあります。
しかし、
時代も働き方の価値観も変化しています。
『甘やかし』と『配慮』は違う
現場に合わせて調整することは、
甘やかしではなく経営判断です。
- ワークライフバランスを重視する価値観
- 心理的安全性の重要性
- 多様な働き方への対応
これらを無視して
昔ながらのやり方を貫くことは、
優秀な人材を逃すリスクにつながります。
スタッフの定着は『コスト削減』であり『経営戦略』
スタッフが1人辞めると、
さまざまな負担が発生します。
- 採用コスト
- 求人広告、面接時間、人材紹介料など
- 教育コスト
- 研修期間中の生産性低下、
指導者の時間確保
- 研修期間中の生産性低下、
- 現場への負荷
- 残されたスタッフへの業務増加、
チーム力の低下
- 残されたスタッフへの業務増加、
- 診療への影響
- 予約調整の制限、
患者さんの満足度の低下
- 予約調整の制限、
退職者を出さないことは、
もっとも効率的な投資と言えます。
離職を個人の問題として片付けるのではなく、
「環境調整で防げた可能性はなかったか?」と
振り返ることが重要です。
終わりに
どれだけ優れた設備や技術があっても、
現場を支えるスタッフがいなければ
歯科医院は成り立ちません。
スタッフが定着する歯科医院は、
特別なことをしているわけではありません。
無理が積み重ならないように、
見て、聞いて、整える。
このシンプルな習慣を、
継続しているだけです。
- 特定のスタッフに業務が集中していないか
- 『言いづらい空気』が生まれていないか
- 暗黙のルールが多すぎないか
- スタッフの声を聞く機会を設けているか
- 『自分基準』で負荷を判断していないか
もし、
なかなかスタッフが定着しないと
感じていたら、
これらが該当しないかを
確認してみてくださいね。





