- 結局、私がやることになってしまう…
- スタッフに任せたいけれど、
思うように動いてくれない - 人を育てるって、こんなに大変だったっけ？
こうした悩みを抱えている
歯科医院の院長は決して少なくありません。
診療業務に加え、
経営判断、スタッフ教育、患者対応まで、
すべてを一人で背負い込んでしまう…。
責任感の強さは素晴らしいですが、
このままでは院長が疲弊し、
スタッフは成長せず、
歯科医院全体が停滞してしまいます。
今回は、「なぜスタッフが育たないのか？」
という根本的な課題を掘り下げ、
院長一人で抱え込まずに済む
歯科医院運営のヒントをお伝えします。
教えているつもりが指示待ちスタッフを作る理由
- 業務のやり方は全部教えている
- 何度も説明したのに、なぜできないんだろう
院長がこう感じているとき、
実はスタッフ側は強い『やらされ感』を
抱いているかもしれません。
その理由は、
『教える』が単なる『情報伝達』に
とどまっているからです。
作業手順や方法を伝えることと、
「なぜその作業が必要なのか」
「どんな結果を期待しているのか」まで
共有することはまったく別物です。
背景や意味が分からないまま
作業をするスタッフは、
どうしても表面的な対応しかできません。
特に若手スタッフは、
自分の仕事が患者さんや歯科医院に
どんな価値をもたらすのかが理解できなければ、
主体的に行動することは困難です。
指示を待つのではなく、
自分で考えて動けるスタッフを育てるには、
『なぜ』の共有が欠かせません。
失敗させない配慮が成長の芽を摘んでいる
毎日忙しく、
「失敗されると面倒だから、
結局自分でやってしまう」
という選択をしてしまうのは自然なことです。
しかし、これが続くと
スタッフの成長機会を奪ってしまいます。
もちろん、患者さんの前でのミスは
避けなければなりません。
しかし、
歯科医院内で小さな『チャレンジの場』は
人材育成の第一歩です。
スタッフが自分で判断、行動し、
結果について
建設的なフィードバックを受ける。
この経験の積み重ねこそが、
任せられる人材への成長につながるのです。
重要なのは成功させることではなく
考えさせること。
失敗を恐れて機会を与えないより、
適切なサポートのもとで挑戦させる方が、
長期的には歯科医院のためになります。
信頼される経験の不足が消極的な姿勢を生む
「うちのスタッフは責任感が足りない」
と感じることがあるかもしれません。
その原因は、もしかしたら
意識の低さではなく、
信頼された経験の不足にあるかもしれません。
- ○○さんのおかげで、
患者さんがとても喜んでくださいました - この件は、あなたにしか
任せられないと思ってお願いしました
こうした言葉を受け取る経験が積み重なると、
人は自分の仕事に意味と誇りを見出します。
逆に、ミスを指摘されることばかりが続くと、
「どうせ私がやってもダメなんだ」と
思考停止してしまいます。
院長が任せてみる
スタッフが信頼される喜びを感じる
この好循環こそが、人を育てる土壌となるのです。
任せる仕組みは整っていますか？
信頼して業務を任せるためには、
個人のやる気だけでなく仕組みも必要です。
- 業務マニュアル
各業務の手順と判断基準が明文化されているか - 情報共有の場
定期的なミーティングや朝礼で方針を共有できているか - フィードバック体制
振り返りや改善提案ができる機会があるか - 指導者の設定
新人や担当変更時の指導役が明確になっているか
スタッフが成長できる環境が整わないまま、
「自主的に成長してほしい」と期待するのは
現実的ではありません。
歯科医院を一人で支えるのではなく、
チーム全体で支える体制を築くために、
何が不足しているかを見直してみてください。
院長が手を放すことで歯科医院は前進する
人材育成とは、
手をかけ続けることではありません。
むしろ、適切なタイミングで手を放し、
任せることです。
- 毎日すべての業務をチェックしない
- 小さな判断はスタッフに委ねる
- ミスをゼロにしようと完璧を求めすぎない
これらを段階的に手放すことで、
スタッフは自然と主体性を
発揮するようになります。
それでも「育たない」「どうしても任せられない」と感じる場合は、
スタッフの問題点を探す前に
任せられる環境が整っていない可能性を
疑ってみてください。
おわりに
歯科医院は、
院長一人の力だけで運営するには限界があります。
信頼できるスタッフの存在は、
患者さんの満足度向上にも直結する、
歯科医院の未来を支える重要な資産です。
「自分でやった方が早い」から
「任せた方が歯科医院が強くなる」へ。
この発想の転換こそが、
院長を日々の業務から解放し、
歯科医院全体の可能性を大きく広げる鍵
となります。
最初は少し時間がかかるかもしれませんが、
患者さんにより愛される歯科医院、
そして持続的な成長を実現するために、
ぜひ『任せる仕組みづくり』に
取り組んでみてください。
スタッフと共に歩む歯科医院運営は、
きっと新たな可能性を切り開いてくれるはずです。
