歯科医院のスタッフが『指示待ち』になる本当の理由|院長が渡すべきは答えより判断基準

診療中、
次の患者さんがもう待っている。

そこへスタッフがやってきて

「院長、○○さんの件なんですけど、
どうしたらいいですか?」

説明して診療に戻ると、
数分後にまた呼ばれる。

「院長、こっちはどうしますか?」
「これ、やっていいですか?」
「院長に確認したほうがいいと思って」

診療が終わる頃には、ぐったり……。

心の中では
「それくらい自分で考えてくれないかな」
と思ってしまう。

確かに採用したときは
「わからないことは何でも聞いてね」
と伝えたけれど、
何年経っても全部確認してくるのは
どうなんだろう。

院長は患者さんを診ながら、
経営のことも考えています。

スタッフの判断まですべて引き受けていたら、
いつまで経っても忙しいままです。

「もっと主体性のあるスタッフがほしい」
「言われなくても動ける人はいないのか」

そう感じていませんか?

ただ、
ここでひとつ考えてみてほしいことがあります。

そのスタッフには、
本当に考える力がないのでしょうか
。

目次

何でも確認するスタッフが求めているのは『答え』ではない

スタッフの立場に立って
考えてみましょう。

以前、自分で考えて動いたら
「なんで勝手にやったの?」と言われた。

次は念のため確認したら
「それくらい自分で考えてよ」と言われた。

自分で判断すれば注意されるかもしれない。
聞けば嫌な顔をされる。

こうなると、スタッフは動けなくなります。

とりあえず一番安全な選択として、
院長に確認しているのです。

何でも確認してくるスタッフが
本当に困っているのは、
答えがわからないことではなく、
どこまで自分で決めていいのかがわからないこと
なのかもしれません。

スタッフに任せたいなら、答えより判断基準を渡す

スタッフに主体的に動いてほしいなら、
毎回「こうして」と答えを渡すだけでなく、
判断基準を共有することが必要です。

たとえば、次のような伝え方があります。

  • 患者さんを待たせないことを大切にしてほしい
  • 予約の調整や受付での案内は、
    自分の判断で進めて大丈夫
  • 返金など金額が絡むものだけは
    確認してほしい
  • 迷ったら、患者さんにとってどうかを
    基準に考えてほしい

ここで挙げたのは、
予約・受付・患者さん対応・院内の段取り
といった運営面の例
です。

診断や治療方針など
歯科医師が判断すべきことや、
資格によって担当できる業務が
決まっているものは、
『院長が判断する領域』として
はっきり線を引いておきましょう。

その線引き自体も、
スタッフにとって大事な判断基準になります。

こうした基準が少しずつ共有されると、
スタッフは「院長に怒られないか」と
顔色をうかがうのではなく、
この歯科医院として何を大切にすべきか
を軸に考えられるようになります。

判断基準を言葉にするための第一歩

最近スタッフから確認された内容を
書き出してください。

それを、次の3つに分けます。

  1. スタッフの判断に任せてよいこと
  2. 対応したあとの報告でよいこと
  3. 必ず事前に院長へ確認してほしいこと

分けたら、それぞれ
「なぜそう判断するのか」という理由も添えて
スタッフに伝えましょう。

理由がわかれば、
スタッフは初めてのケースでも
同じ考え方で判断しやすくなります。

一度にすべてを決める必要はありません。

確認が多い項目から、
少しずつ言葉にしていけば十分です。

スタッフが出した『自分と違う答え』を受け入れられるか

スタッフが自分で考えた結果、
院長とは違うやり方を選ぶことがあります。

そのときに、
目的は達成できているのに
「俺ならそうしない」という理由だけで
否定していませんか?

これを繰り返すと、
スタッフは考えることをやめます。

なぜなら「自分で考えて」と言われても、
結局は院長と同じ答えを出さなければ
正解にならないからです。

これでは主体性は育ちません。

任せるということは、
仕事を渡すことだけではなく、
自分とは違う答えが返ってくることを、
ある程度受け入れることでもあります
。

「主体性のある人を採用したい」と考える前に

もちろん、採用の段階で
人を見ることも大切です。

指示を待ちやすい人もいれば、
自分から動ける人もいます。

ただ、どれだけ主体性のある人を採用しても、
判断するたびに否定される環境にいれば、
いずれ動かなくなります。

反対に、最初は何でも確認していたスタッフでも、
「ここまでは任せる」
「間違っても一緒に直せばいい」
という経験を重ねることで、
自分で判断できるようになることがあります。

だからこそ、
「うちのスタッフは自分で考えない」
と感じたときは、
スタッフの能力や性格だけを見るのではなく、
自院にはスタッフが自分で考えるための
判断基準があるだろうか
と
振り返ってみてほしいのです。

問題はスタッフが動かないことではなく、
院長の頭の中にしかない
『歯科医院としての正解』が、
まだ言葉になっていないこと

なのかもしれません。

その判断基準を言葉にできたとき、
スタッフだけでなく、院長自身の働き方も
少しずつ変わっていくはずです。

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