「労働人口の減少が叫ばれる、近い将来に備えるための手段のひとつとして、ハノワを利用しています。」
こう話してくださったのは、千葉県柏市にある『たかの歯科医院』の院長、高野正博先生です。
地域向けの『食×健康セミナー』や、無農薬野菜と海藻の『直売マルシェ』の開催など、一見すると歯科とは関係がなさそうな独自のアイデアを形にされている高野先生ですが、開業前からキャッシュフローや経営について学び、今では歯科院長向けの『経営セミナー』を開かれるほどの “経営のスペシャリスト” でもあります。
常に未来を見据えたビジョンを描いて “逆算した経営プラン” を立てられる高野先生に、ハノワに着目する理由をうかがいました。
さらには、経営に課題を抱えている医院の共通点についても話してくださっています。是非ともご参考にされてみてください。
動画も配信しています
今回の記事では伝えられなかった内容が盛りだくさん!
高野先生の想いやビジョンも、ご自身のお言葉で語ってくださっています。ぜひご一緒にどうぞ!
院長先生プロフィール
高野 正博 先生
たかの歯科医院(千葉県柏市)院長
歯科技工所を経営する父親の影響で、中学生のうちに「自営業をする」という夢ができる。その後は管理栄養士にも興味をもつものの、歯科医師の道へ。
歯科大学生時代に知り得た「虫歯や歯周病は生活習慣病であり予防ができる」という考えをもとに、「口だけでなく、心や体の健康もサポートする」という独自の切り口から患者さんとのコラボ企画を生み出し、『予防歯科』の大切さを広めている。
ヒトが大好き!
ハノワ編集部の吉田樹(いつき)です。
特技は “相手の魅力ポイントを見つけること” と “挑戦を全肯定して応援すること” 。
「指導者や講師ではなく、普通の歯科衛生士に光を当てるメディアを作りたい」
「彼女たちの魅力を引き出して挑戦を応援できる会社でありたい」
というハノワ代表 新井の言葉に共感し、お手伝いをさせていただくことになりました。
ハノワのサービスと同じく、歯科医院や院長先生、歯科衛生士さんたちに寄り添いながらも、純度の高い記事をお届けしていきます。
「自院のこんな取り組みを紹介したい!」
という先生は、ぜひお話を聞かせてください!
たかの歯科医院の想い
まずは、高野先生について教えてください。
お父さまは歯科技工所を経営されていたそうですが、どうして歯科医師を目指されたのですか?
もともと管理栄養士を目指すほど『食べること』が好きなんですが、父親の仕事の影響で歯科業界が身近だったこともあって、歯医者の立場から「食べること」にアプローチできるんじゃないかな?と考えたのがキッカケです。
だから、患者さんへも「食べ物をおいしく食べるために歯を守ってほしい」という想いがあります。
たかの歯科医院が『予防歯科』に力を入れておられる理由でしょうか。
高野先生の想い、詳しく聞かせていただけますか?
虫歯や歯周病などの歯科の病気って、生活習慣病が原因なんです。つまり “食べ物で予防ができる” んですよ。歯科学生時代にこの事実を知ってから、予防の意識が高まりましたね。
だからこそ、患者さんには「自分の歯でおいしく食べること」を大事にしてほしいなと思っています。
あとは…、僕は歯医者ですが『治療』をしたくないんですよね(苦笑)。
だから「どうすれば必要以上に治療をしなくて良いか?」という発想も起点になっています。
理想は、「虫歯がないのが当たり前」という世界になって「歯をなるべく“削らない歯医者”を増やす」ことで、そのためには『予防歯科』が必須だと考えています。
高野先生の「おいしく食べること」への情熱が伝わってきます(笑)
ご自身の想いを形にするためには、医院のスタッフとの連携も必要だと想像するのですが、工夫されていることはありますか?
一人ひとりが『たかの歯科の経営者である』という意識をもてるように、スタッフ全員に当院のビジョンやミッションを共有したり、医院の売上や人件費などの経営状況もすべて伝えるようにしています。
健康な人がより健康になるための、削らない歯医者を創る
口の健康だけでなく、心や体の健康をサポートし、笑顔を作る
医院の経営状況まで、スタッフの方と共有されているんですか!それは経営者意識が芽生えそうだなぁ。
みんな自発的に考えて動いてくれるので、すごく助かっています。
ほかには、今までバラバラに動いていた、歯科衛生士さん・管理栄養士さん・保育士さん・歯科医師を一つにまとめたいと思って、みんなでプログラムを考えているところです。
自分の想いを実現できているのはスタッフの協力のおかげなので、本当に感謝しています。
スタッフに共有される経営資料
たかの歯科医院の取り組み
冒頭で『予防歯科』について触れていますが、患者さんへ『予防歯科』の大切さを伝えるために取り組まれていることはありますか?
初診時に「歯の通知表」を作って歯の状態を可視化できるようにして、ご自身の歯に興味をもってもらうことから始めています。
カウンセリングでは、スライドを使って「なぜ歯を削らないほうが良いのか?」という説明や、虫歯や歯周病に絡めた『生活習慣の改善』についてもしっかりとお伝えしています。
患者さんの中には「こんなに親身になって話を聞いてもらったことはない」と、感動して泣かれる方もいました。
素敵なエピソードだなぁ。自分以上に自分のことを考えてくれる歯医者さんに出会えたら、嬉しいですよね。
ところで、たかの歯科医院では、歯科と関係がなさそうなご活動もされているようですが?
「何をやってるんだ」と思われているかも知れませんね(笑)
例えば、医院の前で『無農薬野菜と海藻の直売マルシェ』をしたり、食と健康をテーマにした『ランチセミナー』を開いたりしています。(※)
(※現在は、新型感染症の影響で開催を控えているそうです)
高野先生の、食に対する想いが溢れていますね(笑)
結局のところ、歯科医院側がいくら『予防歯科』の必要性を話しても、一方通行だったら患者さんへは全然伝わっていないんですよ。
でも、少しでも興味をもってもらえたら変わります。患者さんの方から疑問や質問が生まれるんです。
だから僕は、患者さんが歯や健康、食について考える“キッカケづくり”をしたいという想いで、身近なものと絡めた企画を考えたりしながら、色んなフックを仕掛けているんです。
患者さんの「自発性」を促しているということでしょうか。
それにしても、その斬新なアイデアはどこから湧いてくるのですか?
これは偶然というか、僕は暇さえあれば患者さんとしゃべっているので、その何気ない会話の中から発展することが多いですね。
『無農薬野菜と海藻の直売マルシェ』の場合だったら、仲良くなった海藻屋の患者さんの海藻がすごくおいしかったので、「医院で売りましょう」という話をしたのがキッカケでした。
本当に、スタッフの方々や患者さんとのコミュニケーションを大切にされているんですね。
アイデアといえば、子どもたちへのアプローチもされているそうですが?
親子で参加できる『くちとカラダのリトミック®︎』という活動にも力を入れています。
理学療法士さんや音楽教育者の方と連携しているので、専門家からのアドバイスを受けていただけるのが特長です。
身体だけじゃなく、くちの中の使い方も伝えながら、予防歯科の大切さを話しています。(※)
(※現在は、新型感染症の影響で開催を控えているそうです)
歯科経営について
高野先生は、開業前からキャッシュフローや経営について学んでおられたそうですが、どうしてですか?
僕は開業資金に余裕があった訳ではないので、「少ないお金をどう回して、増やしていくか?」を考えた結果、キャッシュフローや経営について学ぶ必要性を感じたからですね。
おかげで、開業から5年ほど経った頃には経営にも余裕が出てくるようになったので、先にお話したような取り組み ——自分が本当にやりたかったことにチャレンジできています。
ということは、医院の経営に余裕がない状態だと「やりたいことができない」のでしょうか?
わかりやすく言うと、院長がやりたいことをする(=理想を実現させる)ためには「お金」が必要なんです。
そして、そのお金は、医院に必要な経費などを差し引いて余ったものである必要があります。
経営に余裕がなく不安定な状態だと、まずは経費などに充てる利益を生むことが最優先になるので、その利益のために、罪悪感を抱きながらも「やりたくない治療」をしている院長もいらっしゃるんですよね…。
罪悪感を抱きながらも「やりたくない治療」をしている…という部分が刺さりました。教えてくださってありがとうございます。
すべてとは言いませんが、そういう辛い気持ちを抱えていらっしゃる院長がいることも事実です。
だから僕は、歯科医院のための『経営セミナー』を開催することにしました。
「医院がお金のことで苦労しないためにはどうすれば良いか?」ということをお伝えすることで、サポートできれば良いなぁという想いでやっています。
お金に余裕があれば、むやみに患者数を増やさなくて良いですし、ひとりの患者さんに十分な時間をとって必要な情報を伝えられるので、患者さんも納得した上で治療や予防ができるようになるんです。
ちなみに、経営に課題を抱えている医院に共通点はあるのでしょうか?
物事を決める順番を間違えているケースが多いですね。だから、目の前のことに必死で先が見えなくなり、経営も行きづまってしまう…。
耳が痛いというか、、経営に限らず色んなことに通ずる気がします。
では、物事を決める最適な順番を教えていただけますか?
まずは「目的」を考えることです。
「何のために、今これをやっているのか?」という点が明確であることは、経営において重要なんです。
そのためにも、例えば「10年後にこういう状態になっていたい」といった医院の未来像を設定し、その時の社会情勢も想像した上で、逆算して手段を選んでいく必要があります。
すると、5年後・3年後・1年後…という具合に各時期に必要なものが見えてきて、「じゃあ、今は何をすれば良いのか?」もハッキリします。
そこが明確になると、お金や雇用、設備などといった具体的な策を練られるようになるので、徐々に経営が安定してくるんです。
目的がないと方向性を見失いますものね。とっても勉強になります。ありがとうございます。
そうですね。「必死で頑張っているのに理想を実現できない」というときは、ブレている可能性が高いと思います。
そして僕は、その経営戦略のひとつとして、ハノワのようなサービスを活用すると良いと思っています。
ハノワを利用することは、歯科医院の経営戦略のひとつになり得るのですね。興味深いです。詳しくお聞かせください!
ハノワの魅力と可能性
そもそも、高野先生がハノワを使おうと思ったキッカケは何ですか?
今は正規雇用のスタッフでやり繰りできていますが、女性が多い歯科衛生士さんはライフステージが変わることがあるので、「その時になってから慌てないように、今から準備をしておこう」と考えたからです。
あとは、代表の新井さんがキャッシュフローコーチ仲間だったので、信頼できるなと感じました。
やはり、将来を見据えた対策なのですね。
実際にハノワを使われてみて、いかがですか?
初めて体験するサービスなので、医院としても試行錯誤を繰り返す必要性は感じていますね。
例えば、「はじめまして」の状態で初日から“即戦力”として働いてもらうのは、お互いにとってハードルが高いな…と思いました。
ですので、事前に「顔合わせ」の機会を設けて、医院の理念などを共有してからスタートできると良さそうだな、と考えています。(※)
※ハノワでは、勤務前の段階で30分〜1時間程度の顔合わせの場をセッティングする「初回お試しマッチング」を推奨しています。
では、ハノワのどんなところに魅力を感じていらっしゃいますか?
やっぱり、スタッフの「急な欠勤」のときに頼れるサービスがあるのはありがたいです。
院内のスタッフで対応したくても、どうにもならない時もあるので。
ハノワは、気兼ねなく『スポット勤務』をお願いできるシステムですよね。
あとは、今後「毎年100万人の労働人口が減る」と言われている中で、歯科業界でも『人材のシェアリング』というシステムは必要になってくると感じています。
そんな社会の流れを読んで、医療業界の先駆けとしてサービスを提供しているハノワは魅力的ですし、もっと伸びていくと思っています。
というか、もっと競合他社が出てきても良いんじゃないかな(笑)
それだけ、医療業界での『人材シェアリング』システムに可能性を感じていらっしゃるということですか?
もちろんそれもありますし、『人材シェアリング』のサービスを活用する医院が増えると、そのプラットフォームに登録する優秀な人材も増えることになりますよね?
さらには、「歯科業界っておもしろいな〜」と興味をもってくれる人が増えれば、結果的に歯科業界全体の活性化につながるんじゃないかな、と考えています。
またもや将来を見据えたご発言……!さすがです。
高野先生、この度は貴重なお話をありがとうございました!
編集後記
今回のインタビューでは、経営だけでなく、人生において道筋をつける上で大切な考え方にまで話がおよび、貴重な情報も教えていただくことができました。
なかでも高野先生らしさを感じたのは、『自発性』を大切にされている点です。
自営業をされていたお父さまの影響もあり、高野先生は幼いころから、習い事や進学先など「自分の進路を自分で決める」という経験を重ねてこられたそうです。
本人は無自覚であっても、そこで培われた『自発性』は自らのやる気と行動を引き出し、目標の達成に効果的であることを体感されているのではないでしょうか。
だからこそ、様々な「興味をもってもらうためのキッカケ」をつくることで、スタッフや患者さんの『自発性』を促そうとしていらっしゃるように見えました。
自分の内面から湧き起こる感情や理由が動機となれば、理想を実現する力はより強くなります。目標が達成できたときの喜びは格別ですし、たとえ達成できなかったとしても、自ら選んだ道に納得しているので、清々しさすら感じるのではないでしょうか。
そんな経験ができるキッカケをくれる人が近くにいれば、人は慕いたくなるものです。
高野先生がたくさん人に囲まれ、数々のコラボ企画を形にされている秘訣なのかも知れません。
ハノワに可能性を感じて、自発的にハノワを選んでくださった高野先生のご期待に応えるべく、これからもサービスの向上に努めてまいります。