「働き方改革」と聞いて頭を抱えられる院長先生は、今回のインタビュー記事が打開策のヒントとなるのではないでしょうか。
話を進める前に、念のため「働き方改革とはいったい何ぞや?」という認識を一致させておきましょう。
厚生労働省の特設サイトでは、このように定義されています。
「働き方改革」とは?
引用元:厚生労働省「働き方改革 特設サイト」
働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革です。
2019年4月から順次、労働に関する法の改正が適用されていますが、なかでも3本の柱として注目度が高いのが以下の3項目。
1)年次有給休暇の時季指定
2)同一労働同一賃金
3)時間外労働の上限規制
たとえば、1)年次有給休暇については「対象となる全ての従業員(※)に、毎年5日、有給休暇を取得してもらうこと」が義務付けられ、実施できない場合は罰則が科されます。(※有期雇用労働者やパート職員も含む)
慢性的な人員不足や、土日診療や夜間診療を行う歯科医院では、有給休暇を取得してもらうために少ない人数で運営を行う日が発生し、従業員から不満の声があがったり、退職につながるケースも多いと耳にします。
今回インタビューをした『辻堂ステラ歯科』の松田大輔先生は、有給休暇を従業員に取得してもらうために「人事評価制度の導入」を図られたそうです。
「どうすれば、従業員に有給休暇を取得してもらいながら売上目標を達成できるのだろう?」と考えているタイミングでハノワに出会い、現在はコンスタントにご利用いただいています。
松田先生はハノワのどこに魅力を感じ、どのように活用されていらっしゃるのでしょうか。独自の視点でインタビューいたしました。
動画も配信しています
コロナがきっかけで歯科医院の経営を見つめ直し、コンサルティングを受けながら経営の勉強を深められている松田先生。
記事ではご紹介しきれなかった経営に関するお話や、採用へのこだわりなどを語ってくださっています。ぜひご一緒にどうぞ!
院長先生プロフィール
松田大輔 先生
辻堂ステラ歯科(神奈川県藤沢市)院長
父親や親戚も歯医者という、いわゆる「歯医者一族」の家系で育ち、自身も自然な流れで歯学部へ入学。卒業後は口腔外科の勤務医として働く傍ら、歯周病や入れ歯などの専門分野も学んで開業の準備を進める。
2014年に、一般歯科や小児歯科、矯正、口腔外科など幅広い診療を行う辻堂ステラ歯科を開院。
歯科衛生士&動画編集者のわだやんです!
『常勤の歯科衛生士』という働き方に息苦しさを感じていたところにハノワと出会い、ハノワでの勤務を通して、「こんな働き方もあっていいんだ!」「様々な働き方の選択肢があるんだ!」と心が救われました。
- 「歯科衛生士だから、ひとつの医院で長く働かなければいけない」と自分を縛らずに、もっと“自分らしい人生”を叶える人を増やしたい。
- ハノワを通して自己実現に近づく歯科医療従事者のリアルな声を、1人でも多くの人に届けたい。
そんな想いでインタビュー&動画制作に取り組んでいます!
辻堂ステラ歯科について
まずはじめに、辻堂ステラ歯科について教えていただけますか。
辻堂ステラ歯科は、「患者さんの生涯に寄り添える歯科医院」として、子どもからご高齢の方まで皆さんが通えるような歯科医院を目指しています。
お子さんがいるお母さん・お父さんが、家族内で歯科の話ができるようになってほしいなと思っています。
さらには、今通われているお子さんが、大人になっても継続して通ってもらえるような歯科医院に育てていきたいです。
私が辻堂ステラ歯科さんで勤務させていただいたとき、松田先生がお子さんの目線に合わせてすごく優しく治療されていたことが印象的でした。
あと、すごくハッとさせられる出来事がありました。
スタッフの方にグローブの触り方についてご指導いただいたのですが、みなさん清潔・不潔の域を徹底されているなと感じたんです。
そこにこだわっている理由をお伺いできますか?
国立国際医療研究センターという、エボラ出血熱とか出たときに搬送されるような病院で感染予防講習会を受講したときに、『スタンダードプリコーション』と出会って感染予防を徹底することを覚えたので、その影響ですかね。
『スタンダードプリコーション』とは?
院内感染予防の標準対策として米国で作成された準感染予防策。
全ての患者・医療従事者に適応され、病原微生物の感染源確認の有無にかかわらず、血液・全ての体液・汗を除く分泌物・排泄物・傷のある皮膚・粘膜が感染原因になりうるという考えに基づき、①手洗い ②手袋 ③マスク ④ガウン ⑤器具 ⑥リネン の項目に沿った予防策である。
ハノワを使おうと思ったきっかけ
ハノワを使われる前は、どのような状況だったのでしょう?
コロナの影響を受けて、2か月で医院の売上げが400~500万円ほど減収し、ボーナスが払えなくなった時期でした。
従業員にボーナスの件を伝えたところ「私たちは頑張ってるんだからボーナスは欲しい」みたいなことを言われて…。
(あぁ、僕的には従業員を解雇しないように頑張ってきたつもりだけど、経営が逼迫しているのが全く伝わってないんだろうな)
と気づき、僕自身がスタッフの頑張りを感じるためにも、人事評価制度が必要だと考えて導入しました。
どのような人事評価制度を導入されたのですか?
個人の評価と医院の売上げ目標設定を合わせた人事評価制度です。
働き方改革や同一労働同一賃金についても勉強し直して、学歴も何も関係なく、労働力を同じようにくれた従業員には同じようにペイしていくというやり方などを進めています。
今では全体的に「頑張ろう」という気持ちで取り組んでくれているので、良い感じになってきていますね。
売上を把握するようになると、スタッフさんの意識や動き方も変わってきそうですね。
人事評価制度を通して従業員と真摯に向き合い、お金の流れを正確に把握することによって、初めて経営者になったという実感が湧きました(笑)
でも、新しいやり方を取り入れると、既存のスタッフさんが辞めるんじゃないか…という不安はありませんでしたか?
ある本を読んで、従業員が辞めるのは必ずしも悪いことではない、という考え方に切り替えられたんですよね。
詳しく教えていただきたいです。
さっき話題に出した本の中に「退社は代謝」だと書かれている章があったんです。
つまり、現代は終身雇用制がほぼ終わりに近づきつつあるので、新陳代謝の「代謝」のように組織としても「代謝」は必要で、従業員が「退社」することは組織にとっての「代謝」である、と。
たしかに従業員の退職は、その時点で「組織をどう運営していくか」を見直すタイミングのひとつになるんですよね。
マイナスに捉えがちなスタッフの退職も、大局的な視点に立つとポジティブに変換できるのですね。
誤解のないようにお伝えすると、従業員を解雇することで当院の代謝を促しているわけではありません。
代謝が悪い組織は社員が辞めないのに採用してしまうため、肥大化すると、有事の際に余剰人員を解雇せざるを得なくなる——。僕はそれは避けたいんですよね。
ところで、ハノワを使おうと思ったきっかけは、人事評価制度の導入と関係があるのでしょうか?
人事評価制度のなかで最優先に考えたのが、「売上を確保しつつ歯科衛生士さんにきちっと有給休暇を取らせなければならない」ということです。
そのときに見つけたのがハノワさんでした。
ハノワの魅力
現在はどのようにハノワを活用されていますか?
基本的には、有給休暇をとった歯科衛生士さんの穴埋めが多いですね。
あとは、混みあう時間帯にパートナー歯科衛生士さんに来ていただいています。
松田先生にとってハノワの魅力はどこでしょう。
1)歯科衛生士が足りないときに頼れる
やっぱり、来てほしいときにパートナー歯科衛生士さんに来てもらえることは魅力です。
先ほども触れましたけど、当院の歯科衛生士さんが有給休暇を取ったときなど、人員を確保したくてもできない場合があります。
また、急病者が出たときはスタッフの負担が猛烈に大きくなります。そういうときにハノワのパートナー歯科衛生士さんに来ていただけるのは助かっています。
2)雇用する前にお互いの相性を確認できる
ハノワさんは最終的には人材を紹介するようなシステムでありながらも、まずはスポット勤務を依頼して、お互いの相性をみていくことができる点が本当に良いんですよ。
僕が採用の際に重要視していることは「人間性」です。
例えば、求人情報サイトに広告を出して応募してくれた人が、必ずしもうちとマッチするとは限らないですからね。
歯科衛生士にとっても、『30分お試しマッチング』やスポットでの勤務でお互いの相性を確認できるのはありがたいです。
3)就業後の『アリガトウ』制度
就業後に相互レビューをする『アリガトウ』は良いシステムだと思います。
事前にある程度のことは「見られてるんだな」っていう意識をもっているので、歯科衛生士さんにとって良い意味で緊張感があるんじゃないですかね。
だから、ハノワで活躍される歯科衛生士さんは素晴らしい方が多いんだと感じています。
ありがとうございます。
たしかにパートナー歯科衛生士は、『アリガトウ』で評価される項目は意識していると思います。
ハノワに期待すること
松田先生がハノワに期待することはありますか?
ハノワさんに今後、茅ケ崎・藤沢近辺で働いてくれる歯科衛生士さんの登録が増えほしいと思っています。スタッフの入れ替えのときにうまく人員を確保できるとも限らないので。
もちろん、人員をどう確保していくかっていうところは経営者としての僕の課題でもあるんですけど、ハノワさんがよりフレキシブルな対応ができる体制が整うと、タッグを組みながら医院を回していけるようになるんじゃないかなと期待しています。
これからハノワを利用される院長先生へ
これからハノワを利用される院長先生へメッセージをいただけますでしょうか。
ハノワの歯科衛生士さんに依頼される場合、「バイト代わり」という意識ではなく、直接雇用に向けた使い方をされてはいかがでしょうか。
ハノワのスポット勤務はあくまでも入り口であって、「最終的に直接雇用に繋がるためにはどうすればいいか」を考える必要があります。
何回か勤務してもらうことによって、理念がパートナー歯科衛生士さんにも伝わると思うんですよね。
継続してスポット的に入っていただきながら、採用に向けて動いていくっていうのが、僕は一番良い方法なのかなと考えています。
あと、有給休暇を消化できない医院には従業員も来ないと思うんですよね。そういう意味では、採用面でもハノワさんが強力な武器になるんではないかと。
今後のビジョン
最後に、松田先生の今後のビジョンをお聞かせください。
僕が唯一やっていないのは技工なので、将来的には歯科技工士さんも雇って院内ですべて完結できる医院を目指しています。1つの大きなチームにしていきたいなって思っていますね。
いわゆる会社のような組織です。
普通の会社でも総務や経理、人事部があるように、うちでも歯科助手部門、歯科衛生士部門、歯科技工士部門のように部門で考え、それぞれに対して教育を行い、院長として統括するのが役目だと思っています。
編集後記
日本歯科医師会が発行するニュースレターで報告があるように、緊急事態宣言が出されたことによって外来患者数が減った歯科医療機関は9割にのぼり、アンケート回答数の約40%は「経営不安」を訴えています。
院長先生の医院も例外ではなかったことでしょう。
“ピンチはチャンス” と言いますが、有事の際の対応は経営者としての責任が問われます。
「自院にとって重要なものは何なのか?」
という問いに真正面から向き合わざるを得ない状況で、松田先生の場合は、悪くなったキャッシュフローをきっかけに医院の経営や人事を見直されました。
なかでも従業員への『年次有給休暇の取得』は、最重要課題として取り組まれるご決断を下されたそうです。
そんなときにハノワと出会って利用を始め、採用面でも「強力な武器になる」と言っていただけるほど期待を寄せてくださっていることは光栄に思います。
もし、院長先生が既存スタッフの有給取得率でお困りであれば、休みがとりやすくなるような仕組みづくりに、ぜひともハノワをお役立てください。