「気づいたら、私がいちばん年上になってた…」
これは、
多くのベテラン歯科衛生士から聞く言葉です。
豊富な経験と確かな技術を身につけた一方で、
20代中心の職場で
「若手スタッフとどう関わったらいいの?」
「なんとなく距離を感じる」
という悩みを抱えている方も
多いのではないでしょうか。
今回は、世代間の壁を乗り越えて、
年下スタッフと良好な関係を築きながら
働きやすい職場環境を作るための
コミュニケーション術をご紹介します。
なぜ年下スタッフとの関係に悩むのか
世代間の価値観の違い
20代の若手スタッフは、学校でも職場でも
『対等な関係』を重視する環境で育っています。
また、デジタルネイティブ世代として、
情報収集や学習方法も
ベテラン世代とは大きく異なります。
コミュニケーションスタイルの変化
従来の先輩から後輩へという
一方向的な指導スタイルよりも、
双方向的なコミュニケーション
を好む傾向があります。
コミュニケーション術 ① 指導方法を見直す
まず最初に見直したいのが、
アドバイスの伝え方です。
改善前の指導例
- 「それはこうするのが普通だよ」
- 「前の医院ではこうしてたよ」
- 「なんでそんなやり方してるの?」
改善後の指導例
- 「他にも方法があるんだけど、
一緒に考えてみない?」 - 「私の経験だと○○という方法もあるよ。
どう思う?」 - 「そのやり方いいね!
私だったら△△も加えるかも」
相手の考えを否定せず、
まず聞く姿勢を示すことで、
上から目線だと思われることなく
スムーズに指導ができます。
コミュニケーション術 ② 価値観の違いを理解する
年下スタッフの言動が非常識だと感じたり、
やる気がないように見えたりする原因は、
『世代間の価値観の違い』かもしれません。
よくある世代間ギャップ
- 仕事中のスマートフォン使用
- 手書きメモではなくスマホでの撮影
- 疑問に思ったことを率直に質問する姿勢
対応のコツ
これらの行動を『非常識』と
決めつけるのではなく、
まず「最近はこれが普通なんだな」
と受け止めましょう。
そのうえで、
職場のルールや患者さんへの配慮について
説明すると、理解を得やすくなります。
スマホでメモを取るのも今は普通だよね。
ただ、患者さんから見ると遊んでいるように
見えることもあるから、
見えないところで確認するようにしようか。
コミュニケーション術 ③ 雑談でコミュニケーションの土台を作る
若手スタッフとの関係性を築くには、
ちょっとした雑談が効果的です。
効果的な雑談のテーマ
- 休日の過ごし方
- 好きなカフェやお店
- 使っているコスメやアイテム
- 最近見た映画やドラマ
雑談のメリット
- 相手の人となりを知ることができる
- 話しかけやすい雰囲気を作れる
- 信頼関係の基盤ができる
無理に若者言葉を使ったり、
興味のない話題に合わせる必要は
ありません。
自然体で「相手のことを知りたい」
という気持ちを示すのが大切です。
コミュニケーション術 ④ 聞き役に徹して信頼関係を深める
『教える』よりも『聞く』。
実はこれが、
ベテラン歯科衛生士の
一番の強みかもしれません。
ベテランならではの関わり方
同世代では提供できない
『安心感』を与えることができるのが、
ベテランスタッフの強みです。
若手の悩みあるある
- 「初めての処置で緊張してしまう」
- 「患者さんとのコミュニケーションが不安」
- 「先生の指示が理解できないことがある」
効果的な聞き方
- 「うんうん、分かるよ」と共感を示す
- 「私も最初はそうだった」と体験談を共有
解決策を押し付けずに、
一緒に悩み考える姿勢を見せるのが
大切です。
コミュニケーション術 ⑤ 頼られる存在として適切な距離感を保つ
頼れるベテラン歯科衛生士として、
周りのスタッフと適切な距離感を保ちましょう。
バランスの取り方
- 頼りにされることを肯定的に捉える
「何でも聞いてくる」のは、
あなたが信頼されている証拠 - 成長を促すサポートを心がける
すべてを教えるのではなく、
自分で考える機会も与える - 学び続ける姿勢を見せる
「私もまだまだ勉強中だよ」という謙虚さが
若手との距離を縮める
具体的なアプローチ
- 質問に対して「どう思う?」と
逆質問してみる - 若手から新しい情報やトレンドを
教えてもらう - 一緒に勉強会やセミナーに参加する
実践!今日からできるコミュニケーション改善法
朝のコミュニケーション
「おはよう」に加えて、
「今日は○○があるから一緒に頑張ろうね」など、
その日の目標を共有する
業務中のフォロー
「調子はどう?」
「何か困ったことない?」など、
こまめな声かけを心がける
終業時の振り返り
「今日はお疲れさま。
○○の処置、上手になったね」
など、具体的な成長を認める言葉をかける
違いを楽しむ職場環境を目指そう
年齢差、価値観の差、経験の差は
確かに存在します。
しかし、それを『やりづらい』と感じるか
『お互いに学べる機会』と捉えるかで、
職場の雰囲気は大きく変わります。
ベテラン歯科衛生士のあなたが持っている
- 豊富な経験と知識
- 若手を支える包容力
- 職場全体を見渡す視野
若手スタッフが持っている
- 新しい視点とアイデア
- 学習意欲とエネルギー
- 柔軟性と適応力
これらがうまく組み合わさることで、
より良いチーム医療を提供できる
職場が作れるはずです。
まずは今日から、
ひとつでも実践してみてください。
あなたの心がけひとつで、
職場全体の雰囲気が変わり、
スタッフが働きやすい環境を
作ることができるでしょう。