歯科助手として働いていて
「ちょっとスケーリングやってみて」
「レントゲンのボタン押して」
など、院長から有資格者のみが行える業務
を依頼されて困った経験はありませんか?
実はこれらの依頼は
法律違反にあたる可能性があります。
本記事では、
そんな状況に遭遇したときの適切な対処法と、
自分自身を守るための知識をお伝えします。
歯科助手と歯科衛生士の業務範囲の違いを正しく理解する
『歯科助手にできる業務』と『できない業務』を
正確に知ることが重要です。
歯科助手にできる業務
- 受付・会計業務
- 診療器具の準備・片付け
- 器具の洗浄・滅菌
- 診療補助(材料の受け渡しなど)
- 患者さんへの案内・声かけ
など
歯科助手にはできない業務
- スケーリング(歯石除去)
- 歯面清掃
- フッ素塗布
- レントゲン撮影
など
これらの業務は歯科衛生士法により、
有資格者のみが行えると定められています。
※レントゲン撮影は診療放射線技師法により定められています。
無資格者が行うと、
本人と指示した歯科医師の両方が
法的責任を問われる可能性があります。
「ちょっとだけ」と言われても、
それは違法行為です。
まずはその線引きを理解し、
自信を持って「できません」
と言える土台を作りましょう。
院長からの依頼を断る際の効果的な伝え方
「怖い」「嫌だ」と感情的に拒否すると、
誤解を招く可能性があります。
避けるべき断り方
- 怖いのでできません
- 嫌です
- 感情的な拒否
効果的な断り方
1. 法的根拠を明確に示す
申し訳ございませんが、
その業務は歯科衛生士法により
有資格者のみが行える業務です。
法的リスクを避けるため、
歯科衛生士の方にお願いして
いただけますでしょうか。
2. 代替案を提示する
- 代わりに、器具の準備や滅菌処理を
より迅速に行います - 患者さんへの案内や受付業務で
お手伝いできます
法律と責任の観点で
論理的に説明すれば、
院長側も理解してくれるでしょう。
職場環境を改善するための具体的なアクション
歯科衛生士に相談する
職場に歯科衛生士がいる場合は、
状況を相談してみましょう。
専門職としての立場から、
適切なアドバイスやサポートを得られる
可能性があります。
業務範囲の明文化を提案する
院長や歯科衛生士と面談し、
業務ガイドラインの作成を提案しましょう。
- 歯科助手の担当業務一覧
- 歯科衛生士の担当業務一覧
- 緊急時の対応ルール
- 業務分担の原則
全スタッフで共有できるガイドラインを作ると、
歯科助手の立場も守られ、
業務の混乱防止にもつながります。
違法行為を強要された場合の相談窓口
もし院長が「そんなの誰でもできるだろ」と
圧をかけてきても、
あなたには「やらなくてもいい」「断っていい」
権利と根拠があることを忘れないでください。
それでも
法的に認められていない業務を指示されたり、
強要されたりした際は、
各都道府県の厚生局へ相談するのも
ひとつの方法。
正当な通報者は『公益通報者保護法』
という法律により保護されるので、
職場にバレたり不当な扱いを受けたりする
心配は不要です。
早期対応の重要性
もし「すでに違法な業務指示に従ってしまった」
という場合、
問題を隠蔽しようとするのは適切ではありません。
患者さんへの影響拡大のリスク | ・不適切な処置による健康被害の可能性 ・同様の違法行為の継続による被害者増加 |
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問題の深刻化 | ・発覚が遅れるほど法的責任が重くなる ・組織的な隠蔽が明らかになった場合の信頼失墜 |
無資格での業務依頼を断るのは、
患者さんの安全を守ることにもつながります。


おわりに
違法性に気づいた早期の段階で
適切な対応をとることで、
患者さんの安全確保と自身の法的保護の
両方を実現できます。
毅然とした姿勢は
あなたの安全と成長を守るために必要です。
もしそれでも強要するような職場であれば、
すぐに辞めて
あなたがもっと活躍できる職場を選択することを
おすすめします。