歯科衛生士として働くなかで、
患者さんとのコミュニケーションに悩みを抱えていませんか?
- 信頼関係を築きたいけど、
どこまで踏み込んでいいかわからない - プライベートな質問をされて困ってしまう
- 患者さんに感情移入しすぎて疲れてしまう
このような悩みを抱える歯科衛生士は
珍しくありません。
患者さんとのちょうどいい距離感を保つことは、
質の高い歯科医療を提供するうえで
重要なスキルです。
本記事では、患者さんとの良好な関係を築きながら、
自分の心も守ることができる
『ちょうどいい距離感』の保ち方について、
3つの実践的なポイントをご紹介します。
なぜ歯科衛生士は患者さんとの距離感で悩むのか
この悩みの根本には、「患者さんの役に立ちたい」
というあなたの優しさに加えて、
職業特有の環境や歯科衛生士の持つ資質が
関係しています。
歯科医療の特殊性
口腔内というプライベートな部位を扱う歯科医療では、
緊張する患者さんにリラックスしてもらうための
コミュニケーションが必要不可欠です。
また、定期的なメインテナンスにより
長期間にわたって同じ患者さんと関わることが多く、
自然と親密さが生まれやすい環境にあります。
歯科衛生士の特性
多くの歯科衛生士は責任感が強く、
「患者さんの口腔健康を守りたい」という
使命感を持っています。
この職業から来る責任感が、
必要以上に患者さんの悩みを抱え込む原因と
なることがあります。
患者さんとのちょうどいい距離感を保つ『3つの実践的コツ』
無理なく、健全な関係を築くための
小さな工夫をご紹介します。
ひとつでも参考にしていただけたら、
患者さんとの距離感で疲れてしまうという悩みが
軽減できるかもしれません。
『聞く』プロになる
患者さんの話を聞くことは重要ですが、
すべての話題に対応する必要はありません。
歯科衛生士としての専門性を活かし、
口腔健康に関連する内容に
会話を絞ってみましょう。
実践例
- 「普段のお食事で、よく噛みにくいと感じることはありますか?」
- 「お仕事が忙しい時期でも続けやすい口腔ケア方法を一緒に考えてみませんか?」
- 「最近、歯や歯ぐきで気になることはありませんか?」
このような質問を通じて患者さんに
「私の口腔健康を真剣に考えてくれている」
と感じてもらえれば、
専門職としての信頼関係を築くことができます。
自分の『プライベート』を線引きする
患者さんから「休日は何してるの?」など、
プライベートな質問をされた際の対応方法を
事前に準備しておくことが大切です。
適切な対応例
- 「休日はリラックスして過ごすことが多いです。ところで、今日は気になるところはありませんか?」
- 「休みの日はのんびりしてます。お口の調子はいかがでしょう?」
親しみやすさを保ちながらも、
プロとしての境界線を維持することで、
お互いにとって健全な関係を築けます。
患者さんとの『共感』は、ほどほどに
患者さんのつらさや悩みに寄り添うのは、
とても素晴らしいことです。
しかし、その感情を
自分のことのように受け止めすぎてしまうと、
心はあっという間に疲弊してしまいます。
「お気持ちはよくわかります。
では、お口の状態から最適なケア方法を考えてみましょう」
といった具合に、
共感から専門的なアドバイスへと
自然に移行すると良いでしょう。
患者さんの話を聞くことは『奉仕』ではなく、
治療を成功させるための『スキル』です。
そう割り切ることで、
心の負担を軽くすることができます。
おわりに
患者さんとの距離感に悩むのは、
歯科衛生士として患者さんと
真摯に向き合っている証拠です。
その思いやりの心を大切にしながら、
適切な境界線を設けることで、
より良い歯科医療を提供できるようになります。
今回ご紹介した3つのコツを日常の診療に取り入れて、
患者さんとの信頼関係を築きながら、
自分の心も守れる歯科衛生士を目指してみませんか。