今月の自費売上目標、
あと○○万円足りない!
あの患者さん、
もっと高額な治療を
提案できたのでは?
こんな会話が
日常的に交わされている歯科医院は
少なくありません。
もちろん、医院経営において
売上を意識することは重要です。
しかし、その意識が行き過ぎると、
スタッフが萎縮し、
本来の医療サービスの質が
低下してしまうリスクがあります。
今本当に必要なのは、
売上数字を追うことではなく、
一人ひとりのスタッフが『考える力』を
身につけることなのです。
なぜ今『考える力』が求められているのか
マニュアル通りでは対応できない時代
現代の歯科医療現場では、
システム化が進んでいます。
単純な作業や決められた手順の実行は、
今後ますます自動化されていくでしょう。
一方で、
患者さんへの対応は一人ひとり異なります。
- 治療への不安度合い
- コミュニケーションの取り方の好み
- 経済状況や価値観
これらすべてに
画一的なマニュアルで対応することは不可能です。
昨日の成功が今日も通用するとは限らない
「前回この方法で自費診療を受けてもらえた」
からといって、
別の患者さんに同じアプローチをしても
成功するとは限りません。
患者さんの微細な表情の変化や声のトーン、
言葉選びの違いに気づき、
その場で最適な対応を判断できるスタッフこそが、
現代の歯科医院には必要なのです。
売上ばかり気にするとどうなる?
スタッフ間の関係性悪化
あの患者さん、
自費につなげられそうだったのに…
もっと積極的に
提案すべきだったのでは?
こうした指摘が続くと、
スタッフ同士の雰囲気が悪くなります。
特に新人スタッフは委縮し、
患者さんとの自然なコミュニケーションが
取れなくなってしまいます。
医療従事者としてのやりがいの喪失
本来歯科衛生士や歯科助手が
感じるべきやりがいは、
「患者さんの口腔健康に貢献できた」
という達成感です。
しかし売上数字ばかりを追っていると、
「今日は売上に貢献できなかった」
という自己評価に陥り、
職業への誇りを失いかねません。
短期的視点による長期的損失
目先の売上を追求するあまり、
患者さんの真のニーズを見失うと、
結果的にリピート率の低下や
口コミでの評判悪化につながります。
患者さんにとって
本当に必要な治療は何かを考える視点こそが、
長期的な歯科医院の成長には不可欠です。
実践的な『考える力』の育て方
1. 行動の理由を言語化する習慣をつける
日々の業務で
「なぜこの手順なのか?」を
意識的に考える癖をつけましょう。
- この器具を使う医学的根拠は?
- なぜこのタイミングで患者さんに声をかけるのか?
- この説明の順番にはどんな意味があるのか?
理由を理解することで、
応用力が身につき、
イレギュラーな状況でも適切な判断が
できるようになります。
2. 患者さんの立場で物事を考える
- 自分がこの説明を受けたら
理解できるか? - 治療中の不安を和らげるには
どんな声かけが効果的か? - 待ち時間中の患者さんは
どんな気持ちでいるだろうか?
この視点を持つことで、
患者満足度の向上につながる
細かな気配りができるようになります。
3. 違和感を見過ごさない姿勢
なんとなく今日は様子が違う、
表情が硬い気がする、
といった違和感に気づいたら
忙しくても一度立ち止まって
対応を検討してみてください。
- 「体調はいかがですか?」と声をかける
- 先輩スタッフに相談する
- 院長に状況を報告する
この『気づく力』と『行動する力』こそが、
現場での思考力の実践です。
売上向上の本質は価値提供にある
売上は結果であり、目的ではない
患者さんに「ここで治療を受けてよかった」
と心から思ってもらえる価値を
提供し続けることが、
最終的に安定した売上につながります。
- 患者さんの不安に寄り添った
丁寧な説明 - 一人ひとりの生活習慣に合わせた
口腔ケアアドバイス - 治療後のフォローアップ
考える力があるからこそ売上が向上する
表面的な営業トークではなく、
患者さんの真のニーズを読み取り、
最適な治療の選択肢を提案できる
スタッフがいる歯科医院こそが、
長期的な成功を収めます。
スタッフの自立が組織全体を強くする
指示待ちから提案型への転換
院長やチーフの指示を待つだけでなく、
スタッフ自身が「こうすればもっと良くなる」
というアイデアを提案できる組織は強くなります。
- 患者対応の質向上
- 職場の雰囲気改善
- 業務効率化のアイデア創出
- 新人教育の質向上
優秀な人材が集まる好循環
考える力を重視し、
スタッフの成長を支援する歯科医院には、
向上心のある優秀な人材が集まります。
そして優秀なスタッフが
さらに歯科医院のレベルを押し上げ、
患者満足度向上と安定した経営の
両立を実現します。
おわりに
スタッフ一人ひとりが考える力を
身につけることで、
患者さんにとって真に価値ある
医療サービスを提供でき、
結果として持続可能な医院経営が実現します。
これからの歯科医療現場は、
『考える力』があるスタッフこそが
主役なのではないでしょうか。