医療従事者は
患者さんの人生にも関わる大変な仕事です。
これは歯科医料従事者も同様に、
患者さんの歯や口腔の健康に携わることは
患者さんの人生に関わることでもあります。
歯科医療従事者には、
医師やスタッフとともに患者さんへ
安心・安全な医療を提供していくために、
- 責任感や協調性
- 患者さんの不安を解消するための心配り
- コミュニケーション能力
などが求められます。
時代も大きく変わって昔とは違い、
「ただ待っていれば患者が来る」
という時代ではなく、
患者さんの満足を高めるためには
どうすればいいのか?
高齢化社会となり
医療費負担が上がっていくなか、
患者さんにどのように医療や
予防医療の必要性、
その価値を伝えていくか?
が重要になってきました。
そして、
歯科医療従者の働き方も
時代と共に大きな転換期となっています。
そんな時代に対して、
歯科医療従事者として大切なことは
なんでしょうか?
また、これからの歯科医療従事者として
期待される人材とはどのような人材なのかを
考察してみました。
専門職としての意識と責任
まず、
歯科医療従事者として大切なことは、
専門職としての意識と責任です。
その責任と意識をどのように持っているか?
ということですが、
医療倫理の4原則に基づいた意識を持つことは
時代が変わってもブレない指針として
あるのではないかと思います。
医療倫理は、医療のなかで
倫理的問題の解決への指針となる原則です。
医療倫理の4原則
- 自律性の尊重(respect for autonomy)
- 無危害(non-maleficence)
- 善行(beneficence)
- 公正(justice)
「自律的な患者の意思決定を尊重せよ」
という自律尊重原則、
「患者に危害を及ぼすのを避けよ」
という無危害原則、
「患者に利益をもたらせ」
という善行原則、
「利益と負担を公平に配分せよ」
という正義原則からなります。
医療倫理の4原則は、
トム・L・ビーチャムと
ジェイムズ・F・チルドレスが
『生命医学倫理の諸原則 *』で提唱したもので、
医療従事者が倫理的な問題に直面した時に、
どのように解決すべきかを判断する
指針となっています。
*Tom L. Beauchamp, James F. Childress『生命医学倫理』1997
また、患者さんの権利を守るということも
医療従事者には求められます。
医療従事者と患者の関係は
本来は平等であるべきですが、
治療をする側と治療を受ける側
という立場において、その関係は
どうしても上と下になりやすくなります。
患者の権利
▼良質の医療を受ける権利
差別なしに適切な医療を受けることができること。また、医療を継続的に受けることができること。▼選択の自由の権利
病院や医師を自由に選んだり、替えたり、他の医師に意見を聞くこと(セカンドオピニオン)ができること。▼自己決定の権利
自分の病気やけがの内容、治療の方法について十分な説明を受け、患者の意志で検査・治療などを選んだり、拒否したりすることができること(インフォームド・コンセント)。▼情報に対する権利
自分の病気やけがの内容、治療の方法についての情報は、患者の文化に適した方法で、患者が理解できる方法で与えられること。▼守秘義務に関する権利
患者個人に関わる情報やプライバシーが守られること。▼尊厳に対する権利
患者の文化や考え方が尊重されること。▼宗教的支援の権利
引用:厚生労働省サイトより
宗教的な支援を受けるかどうかを決める権利。
といった権利が
患者の権利であると言われています。
これは歯科医療従事者だけではなく、
全ての医療従事者に対する患者の権利ですが、
歯科医療従事者も頭に入れておきたい内容
だと思います。
これらのことを
最低限守れる人材が求められます。
特に、守秘義務の観点では、
昨今SNSなどもあり
簡単に情報が漏洩してしまいます。
どこまでが守秘義務なのか?
をしっかり定義し意識していくことも
大切でしょう。
では、
これから期待されていく人材は
どんな人材なのでしょうか。
期待される人材像とは?
これから期待されていく人材像は、
患者さんの満足を高められる人材です。
医療は以前より身近なものとなりました。
その理由は、歯科医療においても同様で、
「歯が痛いから歯医者へ行く」という時代から、
ホワイトニングや予防歯科なども含めて、
患者さんのニーズに合わせた歯科医療の提供が
増えているからです。
日本はまだまだ歯科後進国と言われていますが、
大きく変わりつつあります。
医療が患者さんにとって身近になり、
消費者という意識が出てきています。
企業の経営において、
ユーザーエクスペリエンス(UX)
という考え方が広がってきていることと同様に、
近年では患者経験(PX)という考え方が
生まれてきています。
PX は、
「患者が医療サービスを受けるなかで
経験するすべての事象」
と定義されています。
また、国側も、
患者経験を計測する方法論の開発や、
そのデータを用いて保険システムを
改善しようとする国が増えています。
日本も同様に、
患者さんの経験・体験という部分での
満足度の高さが求められていくでしょう。
その上で
歯科医療従事者にとって大切なことは、
医療倫理を守りつつ、
いかに患者さんを満足させられるか?
という意識と責任が
重要になってきているのではないか
と感じています。