「患者さんに嫌われたくない」と感じたときに、まず考えたいこと

「今日の患者さん、ちょっと怒っていたかな……」

仕事が終わったあと、
ふと今日の診療を思い返すことはありませんか。

説明をしたとき、
少し不満そうな顔をしていたような気がする。

帰り際も、いつもより素っ気なかった気がする。

「言い方が悪かったかな」

「あそこまで言わないほうがよかったかな」

「次に来たとき、
担当を替えてほしいと言われたらどうしよう」

仕事はもう終わっているのに、
その患者さんの表情が頭から離れない。

そして翌日、
別の患者さんにセルフケアの説明をするとき、
本当はもう少しはっきり伝えたほうがいいと思っていても、
昨日のことが頭に残っていて、
「まあ、これくらいでいいかな」
と言葉を飲み込んでしまう。

こうした経験がある歯科衛生士は、
少なくないのではないでしょうか。

目次

患者さんの反応が気になるのは、真剣に向き合っている証拠

患者さんには、
できるだけ嫌な思いをしてほしくない。

「怖い人」とも思われたくない。

できれば「今日担当してもらえてよかった」
と思って帰ってほしい。

そう考えるのは自然なことです。

患者さんの表情や言葉が気になるのは、
それだけ相手のことを考えながら
仕事をしている
ということでもあります。

だから、
患者さんの反応を気にしてしまう自分を
「気にしすぎなのかな」と責める必要はありません。

ただ、ひとつだけ
考えてみてほしいことがあります。

患者さんに嫌われないことと、
患者さんのために仕事をすることは、
本当に同じでしょうか?

『嫌われないこと』が判断基準になると苦しくなる

歯科医療の現場では、
患者さんが聞きたくないことを
伝えなければならない場面があります。

  • このままでは口腔内の状態が悪化するおそれがあること
  • 現在のセルフケアの方法を見直したほうがよいこと
  • 患者さんの希望が、
    必ずしもその人にとって最善とは限らないこと
  • 歯科医院として対応できない要望もあること

もちろん、伝え方は大切です。

相手をむやみに傷つける必要はありません。

ただ、「嫌われたくない」という気持ちが
強くなりすぎると、
少しずつ判断の基準がずれていきます
。

本来の基準は
「この患者さんにとって必要なことは何か」
だったはずです。

それがいつの間にか
「この人が嫌な気持ちにならないか」
に置き換わってしまう。

そうなると、毎回患者さんの顔色をうかがいながら
仕事をすることになり、心身ともに疲れてしまいます。

「喜ばれること」と「正しいこと」は違う

患者さんに
『言いにくいけれど必要なこと』をきちんと説明した結果、
不満そうな顔をされることがあります。

それとは逆に、『言いにくいけれど必要なこと』をごまかし、
患者さんが喜ぶことだけを伝えたら、
機嫌よく帰ってくれた、というケースもあります。

患者さんの機嫌がよいのは後者ですが、
本当に必要なことを伝えていなかったのであれば、
正しい対応だったとはいえません。

つまり、
患者さんのその場の反応と、あなたの仕事の質は、
必ずしも一致しない
のです。

全員に好かれる歯科衛生士にはなれない

少し厳しく聞こえるかもしれませんが、
人と接する仕事である以上、
全員から好かれることはできません。

丁寧に説明してほしい患者さんもいれば、
手短に済ませてほしい患者さんもいます。

会話を楽しみたい人もいれば、
静かに処置を受けたい人もいます。

同じ対応でも、
「丁寧だった」と感じる人もいれば、
「少しくどい」と感じる人もいるでしょう。

患者さんがどう受け取るかまで、
すべてをコントロールすることはできません。

大切なのは『自分なりの仕事の基準』を持つこと

だからこそ大切なのは、
「どうすれば嫌われないか」ではなく、
「自分は患者さんに対して、
どんな仕事をしたいのか」という
自分なりの基準を持つことです。

  • 丁寧に説明する
  • 患者さんがわからないことを曖昧にしない
  • 必要なことはきちんと伝える
  • そのうえで、相手の気持ちにも配慮する

ここまでできているのであれば、
患者さんのすべての反応まで背負う必要はありません。

患者さんの顔色ばかり気になるあなたへ

最近、患者さんの顔色ばかり気になってしまう。

一人の患者さんの反応を、
家に帰ってまで考えてしまう。

そんなことが増えているなら、
一度自分に聞いてみてください。

「私は患者さんのために仕事をしているのか。
それとも、嫌われないために仕事をしているのか」

似ているようで、このふたつは大きく違います。

その違いに気づくだけでも、
日々の不安や負担は軽くなるはずです。

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