先日、
ある歯科医療従事者の方から
こんな話を聞きました。
その場にいないスタッフの陰口を、
別のスタッフがずっと話していて……。
同調するわけにもいかず、
でもその場を離れるのも難しくて。
気づいたら自分まで疲れ切っていました。
こうした経験をしたことがある人は
多いのではないでしょうか。
患者さんの前では笑顔で接しながらも、
スタッフルームの空気が
ずっと心に残ってしまう。
今回は、
そんな「負の空気」にどう向き合い、
自分の心を守っていくかについてお伝えします。
なぜ職場で『いない人の陰口』が生まれるのか
まず理解しておきたいのは、
陰口を言う人が必ずしも
意地悪な人ではないことです。
多くの場合、
以下のような心理的な背景があります。
- ストレスのはけ口
- 日々の診療で
たまったフラストレーションを、
誰かの話題で吐き出そうとする心理
- 日々の診療で
- 承認欲求
- 「自分の方が状況を分かっている」
「自分の判断は正しい」と
認められたい欲求
- 「自分の方が状況を分かっている」
- 仲間意識の形成
- ネガティブな話題を
共有することで生まれる、
「分かり合える仲間」という連帯感
- ネガティブな話題を
ネガティブな話題は増幅されやすく、
こうした発言がくり返されると、
職場の空気はどんどん悪化していきます。
つらいと感じたら、まず自分の気持ちを受け入れる
まず大切なのは、
あなたが感じた「つらさ」は
正常な反応だということです。
「自分が弱いから影響されるんだ」
と自分を責める必要はまったくありません。
負のエネルギーは、
その場にいるだけで自然に伝わってしまうもの。
そして何より優先すべきは、
あなた自身の心を守ること。
これは決して逃げでも、
わがままでもありません。
負の空気に巻き込まれそうになったら、
次の3つを意識してみてください。
- 距離を取る
話題に加わる必要はなく、
「うんうん」と聞き流すだけで十分。
物理的に少し離れるのも有効です。 - 心の中で線を引く
「これは私の問題じゃない」と
頭の中で線を引く。
心理的な境界線を持つことで、
負のエネルギーを吸収しすぎずに済みます。 - 信頼できる人に話す
愚痴ではなく、
気持ちの整理として
信頼できる人に話してみてください。
安全な環境で感情を吐き出すことは、
心を守る基本です。
状況を変えたいときの対処法
もし陰口の状況が長く続き、
改善したいと思う場合は、
穏やかで丁寧なアプローチを選びましょう。
話題を仕事にシフトする
「それで、どう思う?」と
同調を求められたら、
「そういえば、
午後の患者さんの処置なんですが……」
と自然に話題を変えてみましょう。
ネガティブ発言を繰り返さない
相槌を打つだけに留め、
自分からその話題を広げないことが大切です。
共感の言葉を返すと、
負のエネルギーがさらに増幅してしまいます。
『私』を主語にして伝える
「陰口を言うのは嫌だ」「陰口に賛同できない」
という自分の気持ちを
伝えるときは、
相手を責めるのではなく
「私はこう感じる」と自分を主語にして
伝えましょう。
「あなたが間違っている」ではなく
「私は別の見方もあると思う」
という表現を使うことで、
防衛反応を引き起こしにくくなります。
相手の言葉に同調したり、
同意しないことが大切です。
職場全体の空気を変えていくために
個別の対応だけでは、
同じ状況が繰り返される可能性があります。
職場全体の『空気』を整えるには、
次のような視点が必要です。
ポジティブな話題を意識的に増やす
- 小さな成功体験
- 感謝の言葉
- うまくいった対応
こうしたポジティブな話題を
意識して増やすだけでも、
ネガティブの連鎖を抑えられます。
理念やルールを活用する
「職場では互いを尊重する」
「患者さんの安全を最優先にする」
といった理念は、
直接注意するよりも
強い抑止力になることがあります。
セルフケアを大切に
職場の負のエネルギーを引きずらないためには、
自分自身の心の回復力を高めることも
欠かせません。
休憩時間や終業後に
趣味やリラックスする時間を持ち、
心を整えましょう。
あなたの心を守ることが、チーム全体を守る
見えないところで広がる
ネガティブな空気に巻き込まれると、
誰でもつらくなります。
その場にいても飲み込まれない方法を知り、
心を守ることはわがままではありません。
あなたが心を整えることで、
患者さんへの医療の質も、
チームの雰囲気も守られるのです。
つらかった気持ちをまず認めて、
ゆっくり深呼吸しながら、
自分ができる範囲で環境を調整していく。
それだけでも、
負の空気に飲み込まれない自分を作る
第一歩になります。
少しずつ自分のペースで、
負の空気から距離を取りながら
働いてみてください。
そのやさしい意識が、
職場全体に広がる小さな光になるはずです。





