単発バイトやスポットワークに応募したとき、
「履歴書やマイナンバーの提出をお願いします」
と言われて戸惑ったことはありませんか？
- アプリで完結するはずなのに、
なぜ紙の書類が必要？ - 個人情報を渡すのは不安…
- たった1日の仕事に履歴書までいるの？
こうした疑問や不安は
多くのスポットワーカーが感じています。
しかし実は、
履歴書やマイナンバーの提出には、
法律や実務上の正当な背景があるのです。
このコラムでは、
その理由をやさしく解説しながら、
安全に対応するための考え方をお伝えします。
スポットワーカーが感じる不安は当然のもの
まず確認しておきたいのは、
履歴書やマイナンバーの提出に対して
不安を感じるのは、
決して間違った反応ではないということです。
「名簿や書類がどこに保管されるのか」
「本当に必要なのか」
「情報が漏れたらどうなるか」
こうした懸念は、個人情報を守りたいという
ごく自然な心理からくるものです。
ただ、これらの手続きが求められるのには、
法律による背景があるのです。
その仕組みを理解することで、
不安はきちんとした対応へと変わります。
日雇い勤務でも履歴書が求められる実務的背景
スポット勤務の多くは
日雇い雇用契約に該当します。
給与が支払われる以上は、
雇用者情報（氏名・住所など）が
必要になるのが基本です。
ここで重要な法律が労働基準法第107条です。
この法律では、事業者に労働者名簿の作成
が義務づけられています。
ただし条文には以下のような記載があります。
使用者は、
各事業場ごとに労働者名簿を、
各労働者
（日日雇い入れられる者を除く。）
について調製しなければならない。
（労働基準法）
つまり、厳密には
1日単位の勤務（日雇い）には、
法律上の労働者名簿作成義務が
必ずしも発生しないのです。
「では提出しなくていい？」現場の実態とのズレ
ここで複雑なのが、現場の実務との関係性です。
歯科医院や福祉施設などでは、
スポット勤務の場合でも
「またお願いするかもしれない」という前提で
依頼しているケースが多くあります。
1日単位の雇用である日雇契約であっても、
その後に継続勤務や再雇用の可能性があるため、
多くの職場は
「労働者名簿を整備しておいたほうが
リスク管理上安全」と判断しているのです。
つまり、法的には必須ではないが、
実務上は必要性が高い、というのが現実です。
そのため「履歴書を提出してください」
と言われるのは多くの場合、
雇用管理とコンプライアンスのための
正当な対応と言えます。
マイナンバー提出は『義務』か『協力』か
マイナンバーの提出も同様に
混乱しやすいポイントです。
事業者（給与支払者）は、
源泉徴収票や給与支払報告書に
マイナンバーを記載する法的義務があります。
一方、労働者がマイナンバーを提出する
法的義務はありません。
そのため現状では、
事業者がマイナンバー未記載の書類を提出しても、
税務署や市町村から
特別な指摘を受けるケースはほとんどありません。
それでも職場側が提出を求めるのは
「正確に処理しておきたい」という
実務的な意図からです。
「情報が悪用されるのでは？」という懸念への向き合い方
個人情報を提出するときにもっとも気になるのは
『その後の取り扱い』ではないでしょうか。
この不安に対して、
法的な枠組みを確認しておきましょう。
事業者は
『個人情報保護法』と
『マイナンバー法』に基づき、
提供された情報を適切に管理する義務があります。
万が一、不正利用や漏洩があれば
罰則の対象になります。
ただし、それでも不安がある場合は、
以下の点を事前に確認することをおすすめします。
- マイナンバーを紙で提出する場合、
コピーは封筒などに入れて渡す - 提出書類の保管ルールや
破棄時期について確認する - 不安がある場合はPDFなど
データ形式での提出を相談する
ハノワが初回の基本情報の開示を推奨する理由
初回マッチングの段階では、
その勤務が単発で終わるか、
継続的に発生するかは不確定です。
そのためハノワは、
初回の勤務時点で基本情報を
開示しておくことを推奨しています。
これは
「むやみに個人情報を出させる」ためではなく、
「将来的にトラブルを防ぐための準備」
という考え方です。
履歴書やマイナンバーの提出は、
お互いを守るための基本的な手続き
なのです。
安心につながる3つのポイント
スポットワークで
個人情報の提出を求められたとき、
以下の3点を意識しておくことで、
不安を最小限にできます。
POINT1『背景を知る』
法律や実務の仕組みを理解することで、
その手続きが正当なものであることが分かります。
POINT2『提出方法を工夫する』
紙での提出に不安があれば
PDFでの提出を相談するなど、
安全性を高める選択肢を検討してください。
POINT3『職場の対応を確認する』
提出した情報がどのように管理・破棄されるか、
事前に質問することは
決して失礼ではありません。
むしろ、きちんとした職場ほど、
その質問に丁寧に答えてくれます。
不安から信頼へ：知識が生み出す安心感
スポットワークで
履歴書やマイナンバーを求められると、
最初は「なぜ？」という疑問が湧くのは
自然なことです。
しかし背景を知れば、
「悪用されるかも」という不安から
「きちんとした対応をしてくれる職場なんだ」
という理解へと変わります。
日雇い勤務は法律上、
労働者名簿が必須ではありません。
けれど、再雇用や継続勤務の可能性がある場合、
事業者が情報管理を整備することは
自然で正当なプロセスです。
働く側としては
- 必要な情報は協力して提出する
- 提出方法は安全に工夫する
この2つを心がけることが大切です。
ハノワは、現場で働く人が
安心してスポット勤務に挑戦できるよう、
法律・実務の両面からサポートしています。
不安をなくして、気持ちよく働く。
その第一歩は、正しく知ることからです。
